質問する力を身につける 「わたしはだあれ?」


「わたしはだあれ?」は、4歳位から小学校低学年までのお子さんが「質問する」ことを学ぶのに適したゲームです。

「わたしはだあれ?」には、「動物の描かれたカード」と「その動物の衣装を来た子どもの描かれたカード」がそれぞれ16枚ずつ入っています。

一人のプレイヤーが動物カードをひきます。他のプレイヤーは、その動物について「しっぽはありますか?」「空をとびますか?」など自由に質問します。ただし質問内容は「はい・いいえ」で答えられるものでなければいけません。

質問を繰り返していくうち何の動物がわかったプレイヤーは、その動物の衣装を衣装を来た子どものカードを取ります。正解ならば、動物カードを自分のものにできます。

お題となる動物のカードを引く人は毎回交代します。 上記の流れを繰り返していき、最後に一番多くカードを集めた人が勝ちです。

動物のカードと、動物のきぐるみを来た子どものカード。たったこれだけの組み合わせで、楽しくて効果的なコミュニケーション指導ができる。

動物のカードと、動物のきぐるみを来た子どものカード。たったこれだけの組み合わせで、楽しくて効果的なコミュニケーション療育ができる。

質問しすぎる子への対応

「わたしはだあれ?」は「質問する」という経験をお子さんに繰り返し積んでもらえるすばらしいゲームですが、ルールがシンプルなだけに、効果的な指導をするには指導者の関わり方が重要になってきます。

たとえば、ADHDがあり衝動のコントロールが難しいお子さんの場合、ゲームが始まった瞬間から、

「はい!その動物は赤いですか?! はい!はい!毛は生えていますか!? えっ?生えてない? ということは・・・わかった!その動物はピンクですか!?」

などと、自分一人のペースで矢継ぎ早に質問を繰り返し、他の子が質問するタイミングがなってしまうことがあります。

そうならないためには、事前に以下の様なルールを設定し、子どもたちに説明します。

  1. 質問したい子は挙手をする
  2. 質問に応える子は「◯◯くんorさん、どうぞ」と指名する
  3. 指名を受けたら質問する。

こうしたルールを設定すれば、特定の子が自分のペースでゲームを進めてしまうのを防ぐことができます。 また指名制にすることで、質問に答える子が相手の名前を呼ぶ機会を作ることができます。

友達の名前を呼び相手に反応してもらう経験を積み重ねることは、特に自閉症圏のお子さんに、他者への関心を高めてもらう上で大切です。

 

質問したがらない子への対応

他方、質問をしたがらない子に対しては、お子さんの状況に応じ、指導員が以下の3段階の中から適切な言葉がけをします。

  1. 質問内容の指示(「『その動物は赤いですか?』と聞いてみよう」)
  2. 質問のテーマを明確化(「色について聞いてみよう」「大きさについてきいてみよう」)
  3. 単純な促し(「キミも質問してみたら?」)

最初は1のように質問内容自体を指導員が指示してしまって構いません。質問をしたがらないお子さんにとって重要なのは、「勇気を出して質問したら相手が答えてくれた」という成功体験を重ねてもらうことだからです。

成功体験を積んで自信がついてきたら、2や3のように指示の抽象度を高めていき、最後は自分で挙手して適切な質問ができる形につなげます。

なお質問に答えるお子さんにカードを持たせると、回答に集中してカードがほかの子にうっかり見えてしまうことがあるので、以前紹介したヒットマンガと同じように、カードは指導者が提示するのがよいでしょう。

障害が重くても工夫次第で参加可能

  自閉症の傾向が強く他者との関わりがほとんどないお子さんの場合、上記のような指導上の工夫をしても、質問するのは難しいことがあります。

そんな子には、「質問に応える人」だけを務めてもらいます。 「質問する」ことよりも、「受けた質問に『はい』または『いいえ』で答える」ことの方がやることが明確なので、自閉症のあるお子さんにとっては取り組みやすいです。 普段まとまった会話がほとんどないお子さんでも、このゲームで「質問を受ける役」にさせると「はい」「いいえ」と驚くほどテキパキと答えられることがあります。

そのことは、指導者や親御さんにとってそのお子さんが会話から伺えるよりも高い認知能力を持っていることを再確認する機会となり、療育内容は関わり方を考えなおすきっかけになります。

自閉傾向が強く会話のやりとりが難しい子でも、役割を限定することで、ゲームに参加できる。

自閉傾向が強く会話のやりとりが難しい子でも、役割を限定することで、ゲームに参加できる。

幅広い発達段階に対応可能

この他にも、「わたしはだあれ?」はルールの工夫で幅広い発達段階のお子さんの療育に対応できます。

発達段階が高く、単純な質問をするだけでは面白くないという子たちには、質問の回数を「一人一回」と制限し、制限回数以内で正解をだせなかったときは無得点とすることで、「限られた回数内で、どんな質問をすれば正解にたどりつけるか」を考える訓練となります。

また、年齢が低かったり重い知的障害がある子にたいしては、「わたしはだあれ?」を単純な絵合わせ遊びとして用いることができます。たとえば、羊のカードを提示しながら「羊さんはどれかな?」と問いかけ、その動物を着ぐるみを着たカードを取らせることで、図形の認知力を高めることができます。

値段も安く非常に汎用性が高いので、療育する側としては大変ありがたいゲームです。

ソーシャルスキルトレーニングと連携させる

「わたしはだあれ?」はソーシャルスキルトレーニング(SST)とも相性が良いです。

以下に紹介するのは、SSTの代表的な課題である「他己紹介」との組み合わせです。

  1. 「わたしはだあれ?」をプレイして質問することの楽しさを感じてもらう。
  2. ニ人一組になって、相手のことを質問しあってもらう。
  3. 2で質問した内容をもとに、みんなの前で相手のことを「他己紹介」してもらう。

という一連の流れで、お子さんに「質問する」というスキルを重層的に学んでもらうことができます。

いきなり「二人一組になって相手のことを質問する」形だと、コミュニケーションに不安を抱えるお子さんによってはハードルの高い課題になってしまいます。

そこで、他己紹介の前に「わたしはだあれ?」をつかって楽しく質問しあう時間を組み込むことで、子どもたちがリラックスして質問し合える雰囲気を作れるというわけです。

購入は下記のサイトから可能です。

すごろくや:http://sgrk.blog53.fc2.com/?no=2923