発達障害のある子の将来への見通しをどう立てるか

講演会「発達障害を持つ子どもの将来に向けた準備」を開催しました

去る2月28日、いつもアナログゲーム療育で伺っている東京青梅市の放課後等デイサービス「オルオルハウスかすみ」にて、

「発達障害を持つ子どもの将来に向けた準備~就労に向けて今からできること~」

と題した講演会を開催しました。

療育講演会チラシ1

タイトルからもわかるとおり、いつもやっているアナログゲーム療育のご紹介ではありません。かつて発達障害のある大人の方の就労支援に関わった経験から、発達障害者就労の制度と現状を解説した上で、子どものうちからできることをお伝えしました。

お子さんの将来への見通しをもってほしい

この講演会の目的は、発達障害のある子を育てる親御さんに、お子さんの将来についての見通しを持ってもらうことにありました。

特に、知的な遅れがない、もしくは遅れが軽度のお子さんを育てている親御さんの場合、お子さんの将来の道筋が見えないことに、強い不安を持たれていることが多いからです。

というのも、こうした子どもたちは通常級で健常児の中で過ごしていたり、また特別支援級の中では他の障害児より勉強ができてしまう、いわば中途半端な立ち位置にいるため、周囲の子どもたちの進路が参考にならず、将来の見通しを得るための情報が不足しているからです。

もちろんお子さん一人ひとり目指すべき将来は違いますし、そもそもお子さんの将来はお子さんが自分の意志で決めるものです。

しかし、親御さんにとってもお子さんが将来の見通しが立たなければ、子育ての方針も立ちにくいはずです。

たとえば今盛んに議論がなされている「早期発見・早期療育」の是非についても、お子さんが将来どんな社会で生きていくのかある程度イメージが掴めていないと、どれだけ考えても結論は出ないのではないでしょうか。

発達障害者就職の現状を解説

そこで今回の講演では、社会的自立の一つのゴールとして、就職についてお話することにしました。

発達障害のある人の就職について、主に下記の3つの道筋があることを解説しました。

  • 福祉的就職(福祉作業所等)
  • 一般企業の障害者枠への就職
  • 通常の就職

この中で、発達障害のある人の利用が進んでいる障害者枠での就職について、詳しく解説しました。

障害特性にあわせて仕事内容を調整してもらえたり必要な配慮が得られるといったメリットがある一方、給与が低かったりキャリアアップが難しいといったデメリットがあることも、隠さずお伝えしました。

その上で、就職で必要になる力として「コミュニケーション力」「自己理解」の二つを挙げ、これらを身につけるためには、幼少期から安心できる環境で人との関わる機会をたくさん持つことが必要なことを強調しました。

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「先のことがわかってよかった」

参加者の中にはまだ小学生のお子さんを育てている親御さんも多く、そうした方たちに、取得年収や非正規雇用の問題にまで踏み込んだ私の話がどこまで響くかわからないところもありました。

しかし、終了後にある親御さんが「先のことがわかってよかった。いつかきっと松本先生の言われたことを思い出すことがあるはずです」とおっしゃってくださり、親御さんにお子さんの将来への見通しをもってもらうという目的が、ある程度達成されたのかな、と思いました。

この「将来の見通しを得る」就労のお話、アナログゲーム療育のご紹介と並んで、引き続き、講演を通じてお伝えしていこうと思います。

ご興味のある方はtmwires@gmail.comまでご連絡ください。

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とはいえ最後はゲーム体験も。大いに盛り上がりました。

 

 

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