【放課後等デイサービス】個別支援計画の書き方

療育の指針を示す個別支援計画

「個別支援計画」は、放課後等デイサービスが提供する発達支援の内容と目標を記載するもので、お子さんの利用開始時に作成し、以後6ヶ月ごとの更新が義務付けられています。

また、「個別支援計画」は、指導員にとっては何を目標として日々その子と関わっていくかを示す指針であり、また6ヶ月後の更新時にそれまでの発達支援の成果を測る基準ともなります。

言うまでもなく重要な書類ですが、放デイ経営者の方からは「現場から上がってくる個別支援計画書のレベルが低い・・・」とのお悩みをいただきます。

どうすれば質の高い個別支援計画を作れるのでしょうか。実例を交えて説明します。

pak82_syoruinidamedashijyoushi20140125-thumb-autox1600-17374

作成に頭を悩ませている児童発達管理支援責任者の方も多いのでは・・・。


目標は行動レベルで記載する

個別支援計画には決まったフォーマットはありませんが、たいていの場合、長期目標を1~2個、短期目標を3~4個設定します。

長期目標の記載でしばしばみられるのが「教室に慣れ、楽しく過ごす」といった曖昧な目標設定です。「慣れる」「楽しむ」といった主観的な表現では目標がどの程度達成できたのか客観的に評価できません。

このような主観的で曖昧な表現は、行動ベースの表現に書き換えることで、客観的かつ具体的な評価が可能になります。たとえばこのように書き換えます。

  • 「教室に慣れ、楽しく過ごす」⇒「教室のプログラムに初めから終わりまで参加する」

「慣れる」「楽しく」といった主観的な内容を、「プログラムに初めから終わりまで参加する」という具体的な行動に置き換えました。

このような行動ベースの目標であれば、その達成度は客観的に評価できます。たとえば、ゲームには意欲的に参加するが学習は嫌がって参加しないなら、上記の目標は一部しか達成されていないということになります。

そこから、どうすれば学習に参加してくれるのか、あるいは学習以外のプログラムを用意すべきなのか、新たな計画に向けた議論につなげていきやすいです。

達成までの見通しがつく目標を設定しよう

短期目標の設定では、長期目標と対照的に、あまりに具体的すぎる目標を設定してしまい、その目標が達成できないために後で四苦八苦するケースが多いです。

たとえば、親御さんから「ウチの子、靴紐が結べないので結べるようにしてほしいんです」という具体的な要望が出たとき、実現可能性を考えずにそのまま「靴紐を結べるようになる」という指導目標を設定してしまうようなケースです。

仮にこうした目標を設定した場合、施設側は次回計画書を更新する6ヶ月後までに「靴紐を結べるようになる指導」をその子に提供し、実際に結べるようにしなければなりません。それは本当に実現可能な目標でしょうか。

たとえば、その子に手先の不器用さがあり、ボールを上手で投げられなかったり、お箸が使えずスプーンで食事していたとしたらどうでしょう。その子に「靴紐を結ぶ」ことを教えるのはまだまだ先の話です。

また、「靴紐を結べるようになる」という目標がその子だけのものだとしたら、たった一人のためだけに独自のプログラムを設計し実行するだけのマンパワーを割くことが難しいかもしれません。

専門的なアセスメント能力と指導ノウハウがあるなら話は別ですが、そうでないなら、達成見通しがつかない指導目標を設定することは避けなければなりません。

具体的すぎる行動目標は、能力ベースの目標に置き換える

親御さんから具体的すぎる要望が出たときは、そのまま受け止めず、その行動を成り立たせている能力ベースで目標を解釈しなおします。具体的には以下のとおりです。

  • 「靴紐を結べるようになる」⇒「工作課題への取り組みを通じて手指の巧緻性を高める」

「靴紐を結べるようになる」ことを直接の目標とせず、そのために必要となる「手指の巧緻性」という能力を身につけることを目標としました。また、そのための手立てとして、工作課題に取り組むことを挙げました。

「靴紐を結ぶ」という具体的な行為から、「工作課題への取り組み」というより広い目標に置き換えたことで、たとえば折り紙を折ったり、ペーパークラフト作りではさみを使ったり、調理実習で包丁を使うといった行為も指導内容に含めることができます。こうした活動を通じて手指の巧緻性が向上し、結果として靴紐が結べるようになることを目指します(もちろん紐結び自体を指導に含めても良いです)。

pak25_origamitoturu_tp_v

「靴紐を結べるようになる」という具体的すぎる目標を「手指の巧緻性を高める」という能力ベースの目標に読み替えることで、折り紙を導入するなど、幅広い指導の可能性を見出すことができる。

このように、あまりに具体的すぎる行動目標は、能力ベースの目標に置き換えて幅広い課題で対応できるようにしておくことで、お子さんの発達段階にあわせた柔軟な指導が展開できる上、施設が持っている教材やノウハウを適用しやすくなります。

その際も、達成目標自体は行動ベースで記載することが大切です。たとえば、短期目標に付随する手立ての欄には「曲線をはさみできれいに切ることができる」「補助がなくとも包丁で野菜を切ることができる」など、達成度が客観的に把握できる行動ベースの目標を設定することが望ましいです。

【アナログゲーム療育講座】10月のご案内

高円寺すごろくやで毎月行っているアナログゲーム療育講座。10月のお知らせです。

10月は初の講座となる「中高生~大人編」(9日)と、「学童編(再)」(10日)の二本立てです。

10月9日(日) 「アナログゲーム療育講座 中高生~大人編」

就職を見据え、組織で働く上で求められる「状況にあわせた臨機応変なコミュニケーション能力」の獲得を目指す指導をお伝えします。

他者の考えや場の状況に積極的な関心を持ち、自分がどう動けばよいか主体的に判断することを学ぶために、アナログゲームは最適のツールです。職業訓練や企業研修の経験を踏まえた、実践的な講座です。

発達障害のある中高生の支援、成人の支職業訓練に関わる方だけでなく、発達障害と関係がなくと人事研修や採用に関わる方に参加いただきたい講座です。

13838441_563953387126383_191810199_o

奈良の就労移行支援施設「ぷろぼの」でのスカイプを使った遠隔職業訓練の様子。アナログゲームを通じて、その方が就職する上での強みと課題が見えてきます。


10月10日(月・祝) 「アナログゲーム療育講座 学童編(再)」

9月11日の講座と同様の内容です。

小学校入学以降に身についてくる「客観的思考力」や「コミュニケーション能力」にアプローチする内容です。今まで教え方がハッキリしてこなかったこうした能力に、ピアジェの認知発達理論とアナログゲームを通じて、明確な定義と実践的な指導法を与える内容となっています。

20160819020615591

 

9月の講座も引き続き募集中!

また、9月の講座も引き続き募集中です。

講座はいずれも事前予約制です。リンク先のすごろくやさんのサイトからお申し込みください。

会場でみなさんとお会いできるのを楽しみにしています!

色や名前の世界を拡げる「楽しい色並べ」

今回ご紹介する「楽しい色並べ」は、お子さんの色や名前の世界を拡げていくのに役立ちます。

4250717300795_00

販売サイト:楽しい色並べ(百町森サイトより)

二種類のカードを並べていく

楽しい色並べには、全8色からなる「絵の具」カードと、それぞれの色を代表する動物や食べ物、身の回りの品が描かれたカードが入っています。

まだ色と名前の関連がきちんとついていない子の場合、いきなりゲーム形式ではなく、絵カード同士の合致させる課題として提示してみましょう。

  •  最初に、色合せの基準となる「絵の具」カードを机に並べます。8色ありますが、初めは半分の4色くらいから始めるのが良いでしょう。
  • 次に、指導者イラストが描かれたカードを一枚めくってお子さんに渡し、同じ色の絵の具カードの上においてもらいます。
  • この際、指導者は「これは何かな?」「これは何色かな?」と問いかけ、お子さんにカードに描かれた物の名前と色と答えてもらいます。
  • お子さんがカードを正しい場所に置き、正しく名前と色を答えられたら拍手やハイタッチで褒めてあげましょう。

%e8%89%b2%e5%90%88%e3%81%9b4%e8%89%b2

絵の具カードの上に、その色と同じ色を持つカードを並べていく。初めは4色から。


名前と色を答えてもらうのがポイント

正しい色同士をマッチングできただけで良しとせず、お子さんに物の名前と色を正しく答えてもらうことが大切です。

なぜなら、サクランボを赤い絵の具の上に正しくおけたとしても、「これは何色?」と問うと、「青」と答えてしまうなど、色と名前の関係が確立していないお子さんもいるからです。

それができるようになったら今度は8色の絵の具カードを全てを並べてみましょう。お子さんによっては、オレンジ色と黄色の違いが区別できなかったり、白と黒の無彩色が理解が難しい場合があります。

そんなときは、絵の具カードとイラストのカードを見比べさせ「こちらはオレンジ色、こっちは黄色」といった風に違いを説明した上で、「黄色はどこかな?」と改めて問いかけ、正しい場所に置かせます。

%e8%89%b2%e5%90%88%e3%81%9b8%e8%89%b2

お子さんが慣れてきたら、8色全てを使う。黄色とオレンジ色の判別が難しかったり、白・黒の無彩色の理解が難しい子がいる。


ゲーム形式でシンボルの世界を拡げる

 指導者が提示するカードをお子さんがスムーズに並べられるようになったら、いよいよゲーム形式での指導に入ります。

  •  全てのカードを良く切り、一人6枚ずつ配ります。
  • トランプの7並べのように、順番に1枚ずつカードを場に出していきます。
    • 絵の具カードはいつでも出せます。
    • 場に出ている絵の具カードと同じ色のカードを出すこともできます。
  • 最初に全ての手札を場に出せた人が勝ちです。

%e8%89%b2%e5%90%88%e3%81%9b%e6%89%8b%e6%9c%ad

どのカードなら出せるかな?正解はオレンジ色のキツネ。手持ちの札の中から出せるカードを選び出す必要があるので、幼児のお子さんにとっては難易度が高い。

このルールでは、場にある絵の具カードと合致する色のカードしか出すことができません。お子さんは、「手元の中から合致するものを選ぶ」といったやや複雑な手続きを行う必要があり、その過程で物と色の関係をより柔軟に理解することができます。

色や名前の世界を拡げていくステージ2

今回ご紹介した「楽しい色並べ」は、3~4歳向けで、ステージ2の前半を代表するゲームと言えるでしょう。

ステージ2の療育課題は、シンボル同士の関係を確立し、シンボルの世界を拡げることです。シンボルとは、色や名前、あるいは数などの記号を指します。

「楽しい色並べ」のようなゲームを使って、色や名前といったシンボルの合致をくりかえすことによって、お子さんの思考の世界を拡げ、コミュニケーションを豊かにしていくことができます。

4250717300795_00

販売サイト:楽しい色並べ(百町森サイトより)