11月のアナログゲーム療育講座+対談イベント

11月のアナログゲーム療育講座

毎月すごろくやで行っているアナログゲーム療育講座。11月19日(日)は初のダブルヘッダーで開催です。

14時より「中高生・大人編(前編)」、18時より「応用編:協力ゲーム講座」となります。

 

「中高生・大人編」では、就職を意識した「職場で求められる臨機応変なコミュニケーション力」を身につけるために、相手の立場にたって考えたり、先の見通しを立てて動く練習ができるゲームを紹介します。

「応用編:協力ゲーム講座」では、プレイヤー同士が勝ち負けを競う代わりに、共通の目的にむけ協力しあうゲームを紹介します。協力ゲームはプレイヤー同士の関わりが活発になるため、コミュニケーションの総合的な練習として最適です。小学3年生くらいから大人までが楽しめるゲームを紹介します。

この二つの講座はどちらも「臨機応変なコミュニケーション能力」を身につけることを主眼に構成されているので、ぜひ二つ続けて参加されることをオススメします。合計6時間の講座になりますが、ゲームの体験を多く含みますので楽しみながら参加いただけると思います。

11月23日(木祝) すごろくや代表丸田さんとの対談

すごろくや代表である丸田康司さんとの対談が実現しました。

「ボードゲームって教育に使えますか?」をテーマに以下のように多岐にわたるトピックでお話をする予定です。

  • ボードゲームでコミュニケーション力は身につくの?
  • ゲームで学んだことは実生活で役立つ?
  • プログラミング教育・アクティブラーニングに使える?
  • デジタルゲームとの違いは?
  • ゲームをやったことのない人に楽しさや価値を伝えるためには?

私がアナログゲーム療育を開発したのは丸田さんが代表を務めるすごろくやさんで数多くのゲームと出会ったことがきっかけでした。

丸田さんは元はテレビゲームの開発者でもあり、デジタルゲームとアナログゲームの枠を越えてゲームのそのものの本質について深い見識をお持ちです。私もアナログゲーム療育の理論を作る上で丸田さんに多くの影響を受けています。

意義深い対談になることは間違いないと思いますので、ぜひ皆さんの参加をお待ちしています。

 

構造化 or not構造化?

放課後等デイサービスの研修で・・・ 

昨日研修させていただいたデイはなんと職員の中にノースカロライナでTEACCHを学んだ方がおり、かつてないほど構造化された教室環境だった。

周りがパーテーションで区切られており、余計なものが目に入らない。だから目先のことに集中できる。目先のことに集中できるから余計な声や音がでない。ゆえに視覚のみならず音声の刺激も減る。

その中の小集団指導用スペースでアナログゲーム療育をしたが、刺激が少ないのでお子さんが集中しやすく、指導者としても相当やりやすい、という実感をもった。

 

ひるがえって、今定期訪問しているデイはオープンな一部屋で、視覚支援も荷物の置き場所や手洗い場所、その日のグループ分け程度の最低限なもの。

なのでゲーム中に他の子が手を出してきたり、誰かが教室に入ってくると子どもの注意が逸れて席を立ってしまったりする。しかし、これはこれで意味があると思った。

一人遊びをしていた自閉症児がゲームで遊んでいるところに手を出してくるのは集団への興味の表れとして見ることができる。実際、そのまま集団参加をさせて、意外とすんなりやれてしまうことがある。 仮にその子がゲームを壊そうとするなら、それをプレイしている子が指導者の代わりに、キツすぎない言葉で注意するよう促すことがこれまた療育となる。

みんなでゲームをしているのに別のことに気を取られてしまうなら、「座ってゲームをしますか?それとも、ゲームはやめますか?」と問いかけることで、集団遊びを楽しむには一定の義務が伴うことを教えることができる。

TEACCHの構造化は、刺激を減らし見通しを立ちやすくする点で自閉症のある子が過ごしやすい環境を提供する。かたや構造化をしないことで子どもが多くの物理的・社会的刺激に触れることが、その発達を促すという事もありそうだ。

これはどちらが優れているかというよりも、利用の時間の中で子どもに何を提供するのか、という選択の問題だ。言いかえれば、その教室の持つ発達観・療育観の問題だろう。


現在参加受付中の講座

スーパースターの今・・・

思う所あって滅多に買わない雑誌を買いました。清原の「告白」。

 

清原の話に、思わず背筋が伸びました。症状が「重い」人だ、という認識です。たとえば、こんなつぶやきが。

「僕、野球人生の中で1回も代打をだされたことないんです。でも今は何も1人でできない自分がいる。そのことを受け入れるっていうのは・・・。」(P15)

一読して、そもそもこの人は今公の場で自身の事を語ってよい精神状態なのか?主治医の了解は得ているのか?そんな疑問がよぎったインタビューでした。

しかし、それだけじゃなかったんです。

その後に、親友の佐々木、後輩の立浪、そしてダルビッシュのインタビューがあるのですが、これがなんというか、良い意味でフラットなんです。フラットな先に、彼らの清原に対するある種の信頼、あるいはもっと単純に好意があるんです。

読み終わると「こんなに思ってくれる友達がいるんだったら、清原、大丈夫なんじゃないか」って思うような、そんなインタビューでした。

清原の話だけ聞いていたら、正直救いようがないように聞こえる。しかし、一連のインタビューを読み、清原と彼を取り巻く友人たちの関係が見えてくると、なんか大丈夫な気がしてくる、という大変不思議な読み物なのです。

人は、一人で生きているわけではない。そんなことを考えさせられた一冊でした。


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発達障害のある大人の方の状態像と対応

すごろくや講座5/21は中高生・大人編です

昨日のすごろくやアナログゲーム療育講座「学童編」はおかげさまで定員一杯のご参加をいただき、好評のうちに終了しました。

次回5月21日(日)は、「中高生・大人編」です。こちらはまだお席があります。お申込みは下記のサイトから。ご参加をお待ちしています。

 

発達障害のある成人の複雑な状態像

「中高生・大人編」の開催に先立ち、発達障害のある成人の方がどんな状況にあるのかを整理してみたいと思います。

私は現在、四ヶ所の通所施設で、定期的にアナログゲームを使ったコミュニケーション訓練を行っています。こうした施設には、社会参加の意欲はありながらも、障害その他の事情で就職が難しい方が通われています。

こうした方々の状態像を整理していくと、大きく三つのタイプに分けられます。

  1. 朗らかで人付き合いもよく、一見して障害の存在が見えないが、複雑なコミュニケーションや先の見通しが求められる課題において、相手の立場にたって考えたり、先の見通しの想像することの困難さが見える方々。人当たりは好いので面接は通るが、就労継続が難しく職を転々としている場合が多い。     
  2. 過去にいじめや強い叱責を受けたことが原因で、人との関わりに不安があったり、自己肯定感が低いなどの、心理的な課題を抱える方々。第一印象として暗さや気弱さが目立ちます。他方で、業務遂行能力は高いことが多く、安心できる環境ではパフォーマンスを発揮できる可能性が高いです。
  3. 能力面、心理面共に大きな課題はないが、体調が不安定で通所が難しい方々。朝起きられない、不定期に休むなどで規則正しく通所すること自体が難しい。就労継続の難しさが予想されます。

こうしてまとめてみると、障害特性だけでなく心理面、健康面でも課題を抱える方が多く、全体として子どもより複雑な状態像を呈していることがわかります。

写真は奈良の就労移行支援施設「ぷろぼの高の原事業所」さんでの実践。スカイプを使って遠隔で就労訓練を行うという他にない試みを行っています。(施設・利用者様双方の了解を得て写真を掲載しています)

 

アナログゲームでどんなアプローチができるか

アナログゲームで就労訓練を行った時、上記の3タイプの中で、最も顕著な変化が見られるのは2の心理面の課題を抱える方々です。人前で自分の話をしたり、他の人と関わるようなプログラムへの参加に抵抗感を感じる方が多いですが、ゲームであれば自分が何をすれば良いのか明確なので参加のハードルが低くなります。

そしてゲームを楽しむ過程で不安感が払拭されると、表情が和らぎ、積極的な発言も聞かれるようになります。こうして人と関わる自信がついたことで、他の自己開示的なプログラムに参加したり、地域活動に関われるようになったケースがあります。

3の体調面に不安を抱える方は、一見ゲームではどうにもならないと思われるかもしれませんが、実は意外な形で貢献ができることがわかってきました。「ゲームが楽しいから」という理由で、朝起きられなかった人が頑張って起きて午前中のプログラムに参加できるようになったり、来所頻度が不安定だった人が安定して通えるようになることがあるのです。

体調管理の問題は、視点を変えれば日々の安定した生活習慣をどう築くか、という問題です。通所施設としてアプローチするのが非常に難しいのです。その難しい問題に「楽しさ」というゲームならではの強みで貢献できることは、大きな発見でした。

1の、複雑なコミュニケーションや計画的な行動に課題を抱える方々へのアプローチは、最も難しいです。こうした方々には、発達障害の特性や軽度の知的な遅れの影響が強く伺われます。子どもの場合であれば、発達段階にあわせた療育をすることでゆっくりながらも発達を望めるのですが、大人の場合はそうもいかず「できることはできるが、できないことはできないまま」という形になりがちです。

しかし、子どもにはない大人の方の強みは、自らの課題を客観的に理解し、改善のための工夫を行えるということです。たとえば、ADHD的な集中困難がある方で、度々ルールの聞き漏らしがあり、プレイ中に誤った判断をする原因になってしまっている方がいました。その方は工夫して、ルールをメモ帳に書きとめるようにした結果、ルールの勘違いがなくなりプレイ中も間違いのない判断ができるようになりました。これは明らかに就労につながる成長だと思います。

療育とはちがった大人の就労訓練

このように、大人の就労訓練は子どもの療育と通じる部分はありつつも、また違った考え方やアプローチが必要になってきます。講座ではこのあたりを様々なゲームの紹介・体験を混じえてお伝えしたいと思います。

 

 

【放課後等デイサービス】個別支援計画の書き方

療育の指針を示す個別支援計画

「個別支援計画」は、放課後等デイサービスが提供する発達支援の内容と目標を記載するもので、お子さんの利用開始時に作成し、以後6ヶ月ごとの更新が義務付けられています。

また、「個別支援計画」は、指導員にとっては何を目標として日々その子と関わっていくかを示す指針であり、また6ヶ月後の更新時にそれまでの発達支援の成果を測る基準ともなります。

言うまでもなく重要な書類ですが、放デイ経営者の方からは「現場から上がってくる個別支援計画書のレベルが低い・・・」とのお悩みをいただきます。

どうすれば質の高い個別支援計画を作れるのでしょうか。実例を交えて説明します。

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作成に頭を悩ませている児童発達管理支援責任者の方も多いのでは・・・。

目標は行動レベルで記載する

個別支援計画には決まったフォーマットはありませんが、たいていの場合、長期目標を1~2個、短期目標を3~4個設定します。

長期目標の記載でしばしばみられるのが「教室に慣れ、楽しく過ごす」といった曖昧な目標設定です。「慣れる」「楽しむ」といった主観的な表現では目標がどの程度達成できたのか客観的に評価できません。

このような主観的で曖昧な表現は、行動ベースの表現に書き換えることで、客観的かつ具体的な評価が可能になります。たとえばこのように書き換えます。

  • 「教室に慣れ、楽しく過ごす」⇒「教室のプログラムに初めから終わりまで参加する」

「慣れる」「楽しく」といった主観的な内容を、「プログラムに初めから終わりまで参加する」という具体的な行動に置き換えました。

このような行動ベースの目標であれば、その達成度は客観的に評価できます。たとえば、ゲームには意欲的に参加するが学習は嫌がって参加しないなら、上記の目標は一部しか達成されていないということになります。

そこから、どうすれば学習に参加してくれるのか、あるいは学習以外のプログラムを用意すべきなのか、新たな計画に向けた議論につなげていきやすいです。

達成までの見通しがつく目標を設定しよう

短期目標の設定では、長期目標と対照的に、あまりに具体的すぎる目標を設定してしまい、その目標が達成できないために後で四苦八苦するケースが多いです。

たとえば、親御さんから「ウチの子、靴紐が結べないので結べるようにしてほしいんです」という具体的な要望が出たとき、実現可能性を考えずにそのまま「靴紐を結べるようになる」という指導目標を設定してしまうようなケースです。

仮にこうした目標を設定した場合、施設側は次回計画書を更新する6ヶ月後までに「靴紐を結べるようになる指導」をその子に提供し、実際に結べるようにしなければなりません。それは本当に実現可能な目標でしょうか。

たとえば、その子に手先の不器用さがあり、ボールを上手で投げられなかったり、お箸が使えずスプーンで食事していたとしたらどうでしょう。その子に「靴紐を結ぶ」ことを教えるのはまだまだ先の話です。

また、「靴紐を結べるようになる」という目標がその子だけのものだとしたら、たった一人のためだけに独自のプログラムを設計し実行するだけのマンパワーを割くことが難しいかもしれません。

専門的なアセスメント能力と指導ノウハウがあるなら話は別ですが、そうでないなら、達成見通しがつかない指導目標を設定することは避けなければなりません。

具体的すぎる行動目標は、能力ベースの目標に置き換える

親御さんから具体的すぎる要望が出たときは、そのまま受け止めず、その行動を成り立たせている能力ベースで目標を解釈しなおします。具体的には以下のとおりです。

  • 「靴紐を結べるようになる」⇒「工作課題への取り組みを通じて手指の巧緻性を高める」

「靴紐を結べるようになる」ことを直接の目標とせず、そのために必要となる「手指の巧緻性」という能力を身につけることを目標としました。また、そのための手立てとして、工作課題に取り組むことを挙げました。

「靴紐を結ぶ」という具体的な行為から、「工作課題への取り組み」というより広い目標に置き換えたことで、たとえば折り紙を折ったり、ペーパークラフト作りではさみを使ったり、調理実習で包丁を使うといった行為も指導内容に含めることができます。こうした活動を通じて手指の巧緻性が向上し、結果として靴紐が結べるようになることを目指します(もちろん紐結び自体を指導に含めても良いです)。

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「靴紐を結べるようになる」という具体的すぎる目標を「手指の巧緻性を高める」という能力ベースの目標に読み替えることで、折り紙を導入するなど、幅広い指導の可能性を見出すことができる。

このように、あまりに具体的すぎる行動目標は、能力ベースの目標に置き換えて幅広い課題で対応できるようにしておくことで、お子さんの発達段階にあわせた柔軟な指導が展開できる上、施設が持っている教材やノウハウを適用しやすくなります。

その際も、達成目標自体は行動ベースで記載することが大切です。たとえば、短期目標に付随する手立ての欄には「曲線をはさみできれいに切ることができる」「補助がなくとも包丁で野菜を切ることができる」など、達成度が客観的に把握できる行動ベースの目標を設定することが望ましいです。

【事業所様向け】アナログゲーム療育体験会のご案内

アナログゲーム療育について

アナログゲーム療育の目標は、発達障害のある方に将来の就職を視野に据えた実践的なコミュニケーション能力を身につけてもらうことです。そのためには、継続的に療育を受けていただくことが大切になります。

そのため、放課後等デイサービスや就労移行支援施設など、発達障害のある方を日常的に療育・支援している施設において、カリキュラムの一環としてアナログゲーム療育を取り入れていただくことが最も効果的であると考えています。

そこで、首都圏で日常的に療育や就労支援を行なっている施設様を対象に、アナログゲーム療育を知っていただくため、初回にかぎり交通費のみのご負担で「体験会」を実施させていただきます(最寄り駅:JR青梅線青梅駅)。

定員は5名まで。時間は2時間~3時間程度です。対象は、精神障害・発達障害のある小学生~成人の方ですが、スタッフ様や保護者様の参加も可能です。

なお、アナログゲーム療育は単発のイベントとして実施した場合でも、楽しい時間を過ごしていただくとともにご本人のコミュニケーション上の課題を認識していただくきっかけになります。

日常的に療育を行なっていない支援団体様などで、単発のイベントお呼びいただく場合には、上と同じ条件であれば、1万円+交通費でお受けすることが可能です。

その他様々なご要望に柔軟に対応していきたいと思っておりますので、まずはtmwires@gmail.comまでご連絡ください。

体験会レポート

以下は、先日放課後等デイサービスで行なった体験会のレポートです。実施したゲームの解説のほか、参加者ごとの個別レポートを作成しました(有料オプション:一人あたり1000円)。アナログゲーム療育導入の参考になれば幸いです。

なお、実施時間は2時間半。参加者は発達障害のある高校2~3年生の男児4名でした。

実施したゲームの解説

①基礎的な認知能力をチェックする「イチゴリラ」

神経衰弱をベースとしたゲームです。

ルールの理解・短期記憶・衝動性・数概念の理解など、集団でゲームを遊ぶ際に必要となる基礎的な認知能力をチェックするために導入しました。

大きな問題なく遊ぶことができました。

 

②表情を読む「コヨーテ」

他のプレイヤーの札の数字をてがかりに、合計値を予測するゲームです。数字だけでなく、相手の表情の変化に注目することで、予測の精度があがります。

いずれのお子さんも、他プレイヤーの札を見て全体の数字を予測できていましたが、表情の変化に着目するまでに至りませんでした。回数を重ねれば表情に着目できるようになると思われます。

加えて、事後の振り返りでは複数のお子さんから「一番面白かった」との感想が聞かれたことから、今後教室での導入を特にオススメしたいゲームです。

 

③わかりやすく伝える「ヒットマンガ」

絵柄にあわせたセリフを自分で考えるカルタ形式のゲームです。

自由な発想力が問われますが、今回は苦手なお子さんが多く「難しい」といった声が聞かれました。それだけに、自分が頑張って考えたセリフで相手が札を取ってくれた時は、満面の笑顔を見せてくれるお子さんが多かったです。

詳しい解説:http://www.gameryouiku.com/2015/06/18/1「わかりやすく伝える」 ヒットマンガ/

 

④相手を理解する「かたろーぐ」

手元のカタログや図鑑をもとにランキングを作り、その順位を他に人に当ててもらうゲームです。

A君は鉄道駅、B君は電車、C君はガンダムと、それぞれの好きなテーマを選んでプレイしました。自分のことを相手に理解してもらう喜びを感じてもらい、相手のことを理解する意志を身につけてもらうことが目的です。

詳しい解説:http://www.gameryouiku.com/2015/07/15/相手を理解する 「かたろーぐ」/

販売先:すごろくや http://sgrk.blog53.fc2.com/?no=3186

お子さんの様子と、今後の指導に向けたアドバイス(希望者のみ)

A君 高校2年生

途中からの参加でしたが、混乱することなくスムーズに場に入ることが出来ました。ゲームのルールの理解には少し時間がかかりましたが、実際にプレイしていくうちに「あっそういうことか」と気付くことができていました。

絵柄に合わせたセリフを自分で考えるヒットマンガでは、「え~これ難しいよ~」と気弱な様子でしたが、何度かプレイしていくうち勝手がわかってきたようで、ゲーム後半では適切なセリフを考えだすことができていました。

複雑なルールの理解にはやや時間がかかるものの、一旦理解すればその後は安定して取り組めるのがA君の特徴だとおもいます。学校、そして将来の職場においては、周囲の人間が「できるだけ簡潔な指示を出す」「複雑な指示は文章で出す」などの配慮をすれば、最初から高いパフォーマンスを出せるでしょう。

コミュニケーション面の課題としては、やや大人しすぎるところがあり、他者への働きかけがもっと頻繁に出てきて欲しいところです。「人前で発表する」「わからないところを質問する」「交渉して良い条件を引き出す」などのスキルを練習し、成功体験を積む過程で、人と積極的に関わる自信を身につけてもらいたいとおもいます。

B君 高校2年生

途中参加の子に自発的にゲームのルールを教えてあげたり、「かたろーぐ」で「1位から順番に並べるんだよ」などと自ら解説役を買って出るなど、周囲の状況にあわせて積極的に動くことができていました。

こうした良さを本人が自覚するために、日々の指導の中で、講師に代わって課題の説明をしてもらったり、司会進行を務めてもらうなどして、成功体験を積む機会を積極的に作れるとよいでしょう。

他方で、一度説明したルールを忘れてしまったり、自分勝手な解釈で進めてしまう場面が何度かあり、ややおっちょこちょいな傾向が見られました。考えたことを行動に移す前に、一歩立ち止まって考える習慣をつけてほしいと思います。

一つ気になった点として、集中しているとき、猫背気味になり爪を噛むクセが見られます。面接等、人前に出る場面ではマイナスになってしまう要素です。面接練習の課題を設定し、その様子をビデオで撮影して本人に振り返らせることで、改善が期待できます。

C君 高校3年生

「ヒットマンガ」では、マニアックなアニメのセリフをつけてしまい、誰にもわかってもらえず「なんでお前たちアニメ見ないんだよ!」と怒って他罰的になってしまうことがありました。その後「かたろーぐ」で好きなガンダムのキャラでランキングを作り、他の子に自分の好みをあててもらえたことで、安心できたようです。

人に受け入れてもらいたいという気持ちが強くありながら、その気持ちを伝える手段が「怒りで他者を批判する」という誤った形になってしまう所に、社会的経験の乏しさが感じられます。

他方、コヨーテでは最初最下位になったものの「もう一度やりたい」と言って2回目のプレイでは優勝するなどガッツを見せました。また、怒ってしまったヒットマンガの後も「俺が怒ってること気にしてるの?」と講師に聞くなど、周りを気にしている様子も伺えました。

「うまくやりたい」という気持ちと、周囲を気にする気持ちがあるため、引き続き、ゲームやSSTを通じて他者と密接に関わる経験を積めれば、場に参加するための力を徐々に身につけていけると思われます。

その際、自由な想像力が求められる課題よりは、目的や行動が明確に構造化された課題のほうが、取り組みやすいと思われます。

 

 

研修会もご検討ください

なお、体験会を経て、アナログゲーム療育を導入されたいとお考えの施設様には、スタッフの方に向けた研修プランをご用意しています。 金額は15000円+交通費、半日の日程が基本となります。ただし、内容や時間に関しては、ご要望を伺いながら柔軟に対応いたします。 体験会のあとは、こちらもぜひご検討ください。