9月のアナログゲーム療育講座

おかげ様で大好評!アナログゲーム療育講座

東京は高円寺にあるすごろくやさんのアナログゲーム療育講座。おかげさまで毎回大好評をいただいています。

9月も、3回開催させていただきます。新たに平日夜の開催もあります。

事前予約制で費用は3000円(当日参加4000円)となります。予約は各講座タイトルのリンクよりどうぞ。

 

9月11日(日)アナログゲーム療育講座~学童編~

小学生のお子さんを対象としたアナログゲーム療育を講義とゲーム体験で解説します。発達障害のあるお子さんにとっては、学校の集団生活で障害特性が目立ちやすくなるこの時期。「客観的思考の獲得」「コミュニケーションスキルの獲得」の二つを目標に、ゲームを通じて発達をサポートします。

201607181722569ac

 

9月24日(土)アナログゲーム療育講座~入門編~(再)

教室や家庭で、アナログゲームを療育に導入したいと考えている方に最初におすすめしたい講座です。

多様な年齢や障害特性のお子さんが楽しめる定番どころのゲームをご紹介します。他の講座より実際にゲームのプレイしていただく体験を多くしています。「子どもたちが楽しみながらコミュニケーション能力を高められるゲームがこんなにもたくさんある!」という驚きを感じていただけると思います。

8/27と同内容となります。

20160718160856d56

 

9月30日(金)アナログゲーム療育講座~幼児編~(再)

2歳~6歳半のお子さんを対象にしたゲームを紹介します。ルール理解に始まり、数や言葉が使いこなせるようになる6歳半までの発達段階を対象として,ゲームの紹介と指導法の解説を行います。保育士や児童発達支援事業で発達障害のある幼児のお子さんと接している方、またそれ以上の年齢で知的障害があるお子さんと関わっている方におすすめの講座です。

8/14と同内容となります。「平日に開催してほしい!」とのご要望が多く、金曜夜19:00~から開催いたします。

20160819020615591

 

以下、過去に講座に参加された方からいただいた感想です。

「実際にゲームを行いながらの講習なので分かりやすかった」

「学問的・理論的な話があり、裏付けが聞けてよかったです」

「日常場面から、ゲームを通して学ぶ場面、事柄は多いと感じていましたが、理論的に考えたことはなく、改めて深く学ぶと大変教育効果が大きいものだと感じました。」

など、大変好評いただいております。

ご興味のある方、ぜひ参加をお待ちしております。

 

史上初!? TV電話で遠隔就労訓練

就労移行支援事業所「ぷろぼの高の原」にて、遠隔就労訓練を開始!

奈良で、障害のある人の就労訓練を行っている「ぷろぼの高の原事業所」様と提携し、TV電話を介して、アナログゲームを使った職業訓練を行うことになりました。

2016-07-26 (2)

史上初!?インターネット上のテレビ電話を介した遠隔職業訓練。複数のカメラで、ゲームの様子や利用者さんの表情もよく見えています。プレイしているのは他者への観察力が求められる「ケルトタイル」。

きっかけは、ぷろぼの高の原事業所の所長さんより「ぜひ職業訓練にアナログゲーム療育を取り入れたい!」という熱烈なご要望をいただいたことでした。しかし、私が住んでいるのは東京。奈良に定期的に伺うのは難しい・・・。そこで所長さんから「TV電話で遠隔で指導できないでしょうか?」とのアイデアをいただいたのですが、当初は正直にいって「できるのだろうか?」と半信半疑でした。

ところが実際やってみるとできたんです。上の写真からもわかるとおり、複数のカメラを用意することで各プレイヤーの手元の状況や、利用者さんの表情も伺うことができます。

13838441_563953387126383_191810199_o

現場の様子。カメラの操作をしていただいているのもアシスタント役の利用者さんです。       ※写真の使用については、施設・利用者さん双方の了解をいただいています。


遠隔でもライブ感のある訓練は可能

アナログゲームをつかった訓練では、参加者一人一人の発する言葉や表情、考えている時間の長さなどから、その方がゲームを不安なく楽しめているか観察し、もし不安があるとしたらどのように言葉がけしていくか、常に考えていく必要があります。

こうした繊細なやりとりが遠隔操作で可能なのか、始めてみないとわからないところがありましたが、実際は現場にいるのに近い感覚で利用者さんの様子を観察して、言葉がけできることがわかりました。

13838625_563953493793039_1262047549_o

利用者さんが迷っているようなら「こちらとあちら、どちらを優先したほうがよいですか?」といった問いかけ、良いプレイが出た時は「相手をよくみていた素晴らしいプレイですね」といった言葉がけを行う。精密な観察が必要だが、遠隔操作でも充分可能であることがわかった。

 

利用者さんからは「楽しい!」という感想が

プレイ後、利用者のみなさんから「楽しい!」という感想が聞かれました。次回は参加予定でなかったのに「ぜひ参加したい」と積極的に申し出た利用者さんもいらっしゃり、初回の訓練は大成功に終わりました。

ぷろぼのさんでの訓練は隔週で行われ、今後は交渉するゲームや、お互い協力しあうゲームなどを使い、就労を意識したコミュニケーション訓練を行っていきます。

アナログゲームというツールを使うことで、このように、遠隔地とつながって訓練できるということは、就労支援、そして療育の可能性を多く拡げるものだと思っています。今後の実践を通じてノウハウを蓄積したいと思います。

8月のアナログゲーム療育講座@すごろくや

8月はすごろくやさんにて3回開催!

アナログゲーム療育の講座のお知らせです。

8月は、東京は杉並区高円寺の「すごろくや」さんの企画として、テーマや対象を変えて、3回開催させていただきます。

201607181722569ac

8月14日(日) アナログゲーム療育講座 ~幼児編~

アナログゲーム療育を、年代をわけて3回連続で解説します。初回となる8月は、「幼児編」として2歳~6歳半のお子さんを対象にしたゲームを紹介します。ルール理解に始まり、数や言葉が使いこなせるようになる6歳半までの発達段階を対象として,ゲームの紹介と指導法の解説を行います。

保育士や児童発達支援事業で発達障害のある幼児のお子さんと接している方、またそれ以上の年齢で知的障害があるお子さんと関わっている方におすすめの講座です。

この講座は、9月に「学童編」、10月に「中学生~大人編」と続いていきます(日程は追って告知します)。小学生以上のお子さんと関わっている方であってもお子さんの発達段階をトータルに理解したいという方は、この回からの参加をおすすめします。

2016071817225736d

 

8月21日(日) アナログゲーム療育講座 ~実践編~

主に5歳以上のお子さんを対象に、ゲーム中にお子さんに見せる「負けるとかんしゃくを起こす」「暴言・暴力」「参加しない」等の困った行動にどう対処したらよいかを解説します。

単なる問題行動の対処にとどまらず、その背景にあるお子さんの心理と向き合っていくことで、人と関わる勇気を回復する方法を実際にゲームを体験していただきながら解説していきます。

他の講座のテーマが認知能力の発達であるのに対し、心理面からのアプローチを中心に据えた講座です。(7/2に開催したイベントと同じ内容の再講演となります。)

201607181602539db

 

8月27日(土) アナログゲーム療育講座 ~入門編~

教室や家庭で、アナログゲームを療育に導入したいと考えている方に最初におすすめしたい講座です。多様な年齢や障害特性のお子さんが楽しめる定番どころのゲームをご紹介します。

他の講座より実際にゲームのプレイしていただく体験を多くしています。「子どもたちが楽しみながらコミュニケーション能力を高められるゲームがこんなにもたくさんある!」という驚きを感じていただけると思います。

20160718160856d56

時間・参加費用について

各回時間とも、14:00〜17:00の3時間。事前予約制で費用は3000円(当日参加4000円)となります。予約は上記のすごろくやさんウェブサイトからどうぞ。

すごろくやさんでの講座、おかげさまで好評で、これまでは1~2週間で定員(30名)が埋まってしまっています。お早めの申し込みをおすすめいたします。

みなさんとお会いできることを楽しみにしております。

発達ナビの寄稿【5~6月】

発達ナビ 寄稿中!

発達障害のポータルサイト、「発達ナビ」に、月2回程度のペースで寄稿しています。主に発達障害のある子を育てる親御さんを対象に、普段の関わりの中で活かせるワンポイントテクニックなどを紹介しています。

ここ最近の投稿をご紹介しましょう。

1.子ども本人への障害告知には「避けたいタイミング」があります

サイトの方針もあり、やや刺激的なタイトルですが、お子さんにいつ障害告知するかについて、発達段階や就職との関連を含めて解説しています。

 

2.「同世代の友だちがいない」そんな時期に大人がサポートできる事

発達障害のあるお子さんで、大人との関係は良くても子ども同士のヨコの繋がりを作るのが苦手な場合が少なくありません。ヨコの関係づくりが将来の自立を考えるで大切な理由を解説するとともに、関係づくりのための方法もご紹介しています。

 

3.ハーネスが使えない時、外出時の安全確保に役立つテクニックとは?

外出時の安全確保のためにハーネスや手つなぎは大切ですが、年齢が高くなるとこれらの手段も使えなくなってきます。そのときに使える「目線のコントロール」というテクニックをご紹介しています。

 

 

ステージ2 シンボルのスムーズな操作を促す

ステージ2「前操作期」

今回は、アナログゲーム療育のステージ2を解説します。健常児のお子さんで、3~7歳に当たります。

この時期のお子さんはシンボル機能が確立することで、言葉が話せるようになるのを始め、数、そしてゲームに欠かせないルールの理解ができるようになっています。

この時期のことをピアジェは「前操作期」と呼んでいます。ここでいう操作、とはシンボル機能の操作を指します。「前操作期」とは、シンボルは形成されているものの、それらを自由に操れる手前の段階にある、という意味です。

「ごっこ遊び」が出てくる

ステージ2のお子さんは、シンボル機能が形成されることで、他のお子さんとシンボルを共有しあって集団で遊べるようになります。

おままごとであれば、「私はお母さん、あなたは赤ちゃん」といった風にお互いの役割を演じることができるようになります。このとき「お母さん」というシンボル、「赤ちゃん」というシンボルをお互いの間で共有できているからこそ、おままごとが成立するのです。

ゲームについても、ステージ2のお子さんは「ルール」というシンボルを共有することができるので、子ども同士で遊べるようになります。

シンボルのスムースな操作を促す

シンボル機能が形成されたことで遊びの幅が大きく拡がるステージ2のお子さんですが、限界もあります。

たとえば数の扱いです。おはじきを提示して「これはいくつ?」と聞いてみると、1つや2つなら答えられますが、5つや6つになると正しく答えられなくなってしまうことがあります。また、足し算、引き算はまだ難しいことが多いです。

そのためステージ2の目標は、シンボルをスムースに操作できるようになることです。

アナログゲームは「名前」「数」「色」「形」などたくさんのシンボルの集まりであり、それらをルールに従ってプレイすることが、シンボル操作の練習になります。

 

シンボル操作を練習するアナログゲーム

たとえば、以前ご紹介した「雲の上のユニコーン」は、お子さんの数概念の獲得を促すのに最適です。

数概念を身につける「雲の上のユニコーン」

12304377_1040495526002341_6275379027754794388_o

またステージ2のお子さんについて、数概念と並んでチェックしておきたいのが空間認知能力です。

空間認知能力は、物の大きさや向き、あるいは奥行きなどといったものを正確に把握できているかどうか、ということです。

この能力が特異的に遅れている場合、書字や図画・工作が極端な苦手さを示すことが多いです。また片付けが出来なかったり物をなくしてしまうといった生活上の課題にも影響を与えます。

 お子さんの空間認知能力を測るのに最適なのが、「メイクンブレイク」です。

作業ができたら報告する「メイクンブレイク」

o0800060013254607883

指導者はオーバーリアクションで

ステージ2に入ったばかりのお子さんは、ゲームをプレイする中で何が自分にとって望ましい行動なのか、何が残念な行動なのか、十分理解できていないことが多いです。

従って、指導者はお子さんのプレイが望ましい結果を生みだしたら「やったね!上手にできたね」と積極的に声掛けしてするとともに、拍手やお子さんとハイタッチをしてあげるなど、ややオーバーリアクション気味に接してあげましょう。そうすることで、お子さんは「これは望ましい行動なんだ」ということが分かります。

ステージ1 シンボル機能の芽生え 

療育で用いるアナログゲームを発達段階別に整理

アナログゲーム療育を実践されている方から「発達段階別に療育で使えるゲームのリストがほしい」というご要望をいただくことが多くなりました。

そこで、ピアジェの認知発達段階をベースに、アナログゲーム療育の対象となる2歳から12歳以降までの発達段階をステージ1~4までに分け、各ステージにおいて用いるゲームと主な療育課題を設定することにしました。具体的には以下のような形です。

  • ステージ1 2~3歳  シンボル機能の形成
  • ステージ2 3~7歳  シンボル同士の関係概念の形成
  • ステージ3 7~12歳  脱中心化と客観的思考の形成/状況に合わせたコミュニケーションスキルの獲得
  • ステージ4 12歳以降 相手や場に合わせた臨機応変な対応

本サイトでご紹介したゲームについては、全てステージ分けを行いました。右側メニューのステージごとの分類から、それぞれの段階にあわせたゲームを選んでいただけます。

今回はその最初の段階となるステージ1を解説しましょう。

ステージ1 シンボル機能の形成を促す

シンボルとは、ある具体的な事象を、別の事象で代表したものです。たとえば名前や数、あるいはゲームのルールなどがそれにあたります。

シンボル機能がお子さんの中に形成されてくるのが2歳前後。言葉の発生する時期と重なっています。シンボルの意味についてはこちらの記事でまとめてありますので御覧ください。

シンボルを理解し使いこなせるようになることは、後に続く概念的思考やコミュニケーションの前提となります。

知的障害・発達障害のあるお子さんの場合、このプロセスが遅れることがあり、療育を通じてシンボル機能の形成を促すことが課題となります。

動きや音などの刺激で興味を惹く

ステージ1のお子さんの場合まだシンボル機能が充分形成されていません。具体的には、言葉は出ているか出ていないかといったところ。ものに名前があることが理解できているかもどうかわからない段階。ましてや数やルールの理解はまだまだ先、といったところです。

この発達段階のお子さんの興味の中心は、色や音、動きといった感覚的な刺激です。

そのため、この時期のお子さんが興味があるのは、ラトルやクーゲルバーンのような、色・音・動きに訴えるおもちゃです。

 

 

最初に触れて欲しいゲーム 「はじめてのゲーム・フィッシング」

こうした子どもたちにちょっと背伸びしてもらって、感覚の世界からシンボルの世界に入ってきてほしい。そのためには、お子さんの感覚に訴え、シンボルの世界に引き込むようなゲームが望ましいのです。その代表が、ドイツHABA社の「はじめてのゲーム・フィッシング」です。

_DSC0745

  1. サイコロを振り、出た目の色と同じ色の魚を、磁石のついた棒で釣る
  2. 釣った魚と同じ色の道具を選び、手持ちのパネルにはめ込む
  3. 一番早く全ての道具を揃えた人が勝ち

木でできた大ぶりの魚に、磁石がパチン!とつく感覚が、子どもたちの興味を誘います。

感覚で興味を惹き、シンボルの世界に誘う

ステージ1のお子さんにはこの「フィッシング」のような、おもちゃとゲームの中間のようなタイプが適しています。

魚に磁石がつく感覚を楽しんでもらうために、まずはルールにこだわらず、おもちゃとしてお子さんに自由に遊んでもらいましょう。

お子さんが磁石のついた釣り竿を使って魚を釣り上げることを楽しめるようなら、その次のステップとして、サイコロと同じ色の魚を釣ることを目指します。具体的には、サイコロと同じ魚の色を交互に指さしながら、教えていきます。

1114

放課後等デイサービス「オルオルハウスかすみ」での実践より。サイコロの色と同じ色の魚を釣る。この経験が「色」というシンボルの獲得に繋がる。

 

また「はじめてのゲーム・フィッシング」は魚を釣るだけのゲームだけではありません。

子どもたちの手元には穴の空いたパネルが配られ、釣った魚と同じ色がついたバケツやスコップ、じょうろなどの道具をもらい、そのパネルにはめることができます。

1010

お子さんの視界にはいるように魚と道具両方を見せ、魚と同じ色のしている道具を探してもらう。

「魚を釣る」「道具をもらう」という二つのステップで、色のシンボルを学べるのが「はじめてのゲーム・フィッシング」の素晴らしいところです。2歳~のお子さんに初めて取り組んでいただくゲームとして最もオススメです。

都立小児総合医療センター&入間市市役所で講習会

東京都立小児総合医療センターで講習会

3月は公開・非公開のものを含めて7本の講習会を開催させていただきました。

中でも、東京都立小児総合医療センターにお招きいただいた会は、過去最大の50人の定員で行われ、アナログゲーム療育について講義と体験を交えてお伝えしました。

_DSC0417

病院という場所柄ゆえ、医師・看護師と思しき白衣の先生方の参加も多く、体験の時間では初めてプレイするゲームを楽しんでおられる様子でした。

特に病院の中で過ごしているお子さんに対して、アナログゲームが他者との関係を作り、楽しい時間を過ごすためのツールとして活用されることを願ってやみません。

入間市役所で講習会

埼玉県入間市役所では、保健師さんや福祉職の方を対象とした講習会を開催しました。

こちらは、現場で活躍している方たちの少人数の講習でしたので、一つのテーブルを囲み、実際にゲームを操作しながらお伝えすることができました。この形だとお子さんへの指示の出し方など、微妙なニュアンスをお伝えすることでき、密度の高い講習となりました。

 12910827_1003885369698761_2132160892_n

保健師さんからは、「引きこもりのお子さんと関係を結べるようなゲームを紹介してほしい」とのご要望がありましたので、そうしたゲームも複数ご紹介しました。

12910603_1003885606365404_2030862723_n

写真でご紹介しているのは「ベルズ」。色違いの鈴を磁石の棒で取っていくというゲームです。興味を惹くビジュアルと、シンプルなルールで、お子さんと関わるきっかけづくりに最適なゲームです。体験でも大盛り上がりでした。

【購入先 すごろくや】 ベルズ http://sgrk.blog53.fc2.com/?no=3299

新たな課題も・・・

昨年5月からフリーランスとして活動を初めて1年弱。多くの方にアナログゲーム療育に関心を持っていただき大変有り難いと思っております。

他方で、新たな課題も見えてきています。

特に、講習会に参加した方から「定期的にアナログゲーム療育について学べる場が欲しい」というご要望を多数いただいているにも関わらず、まだ実現できていないのが大きな課題です。

例えば、月一回くらいのペースで定期的な講習会が開けるよう、模索しているところです。何か動きがありましたらこのサイトでご連絡させていただきます。

(株)LITALICOのLeafで実践&名前をつける「ナンジャモンジャ」

Leafプログレスにてアナログゲーム療育を実践!

さる3月21日Leafプログレス所沢教室にて、アナログゲーム療育を実践させていただきました。

Leafプログレスは先日マザーズに上場した(株)LITALICOが運営する発達障害のあるお子さん向けの学習塾です。障害特性に応じた学習支援に加え、コミュニケーションや行動面のサポートにも力を入れておられます。

logo_leaf

 

IMG_4877

お子さんに実践する前に、スタッフさん向けのプチ研修を実施。

Leafさんの特徴の一つとして、教室内にカメラが設置されており、このカメラを通じて、保護者さんがモニタでレッスン中のお子さんの様子を見られるようになっています。

保護者さんにとっては大変有り難い仕組みだと思いますが、指導する側にとっては中々に緊張感があります(汗)。

 

障害特性以上に見えてきたものは・・・

今回はLeafに通う発達障害のある小学4年生から中学1年生までの7人のお子さんが参加され、2時間で5種類のゲームを遊びました。

セッションを通じて特に印象に残ったのは、お子さんの障害特性や認知特性よりも、「集団に参加することへの不安感」でした。

たとえば、促してもゲームに参加しようとしなかったり、わざと他の子の失敗を馬鹿にするような発言をして自分を強く見せようとする子がいました。

過去に学校などで集団参加に失敗した体験があると、未知の集団に参加するときお子さんの中に「失敗して恥ずかしい思いをするんじゃないか」「他の子に馬鹿にされるんじゃないか」という不安が生まれ、その結果、失敗したくないから集団に参加しない、馬鹿にされたくないから他の子を馬鹿にするといった、自己防衛の動きが出ます。

こんなときは、子どもたちの中に「自分はこの場に受け入れられているんだ」「失敗してもいいんだ」という安心感を作ってあげることが大切です。

そうした安心感ができて防衛が解けると、子どもたちはそれまでとはうってかわって、積極的に課題に取り組んだり、コミュニケーションを活発に試みたりするのです。

 

謎生物に名前をつける「ナンジャモンジャ」

子どもたちが集団の中で安心して遊べる。今回、そんな場作りに一役買ってくれたのが、「ナンジャモンジャ」というゲームでした。

ナンジャモンジャのカードには、なんとも説明のしがたい奇妙な生物のイラストが描かれています。このカードを一枚ずつめくり、ひとりずつ順番にその生物に自由に名前をつけていきます。

めくっていくうち、先ほど名前をつけた生物のカードが再び出てくる事があります。そのときに先ほどつけた名前を一番早く言えたプレイヤーが、それまでめくったカードを取ることができます。

全てのカードをめくり終えたとき一番たくさんのカードを取った人が勝ちです。

2016-03-26_014907702_8E33E_iOS   (2016-03-26T02_42_50.679)

なんとも奇妙な「ナンジャモンジャ」の生物たち。

上の写真で、子どもたちがつけた名前は、左から「みどりん」「みどりモジャモジャ生物」「サンフランシスコ」「おばさん」。 

カードをめくったとき、名前のついたカードだったら「みどりん!」「サンフランシスコ!」といった具合に、素早く名前を言うのです。

特に「みどりん」と「みどりモジャモジャ生物」がまぎらわしく、言い間違いが続出して、みんな大笑いでした。

こうやって、失敗をしたことも含めてみんなで笑い合いながら遊ぶことができると、当初参加しなかった子も自然に輪の中に入ってきました。馬鹿にするようなことを言っていた子も、そうした発言がなくなって代わりに笑顔がでてきました。

このナンジャモンジャがきっかけになって、それ以降のゲームが大きく盛り上がり、子どもたちの熱気でこの季節なのに教室に冷房を入れなくてはならないくらいでした。

 

一番難しかったゲームは・・・

さて、ゲームが終了した後、子どもたちに「今日何のゲームが一番難しかった?」と聞くと、一番もりあがったはずの「ナンジャモンジャ」でした。

「ナンジャモンジャ」はとてもシンプルなゲームですが、実は「自由に名前をつける」という創作的な要素を含むコミュニケーションは、発達障害の中でも特にASDのあるお子さんには難しいことがあるのです。

笑顔で盛り上がっていた子どもたちでしたが、一人ひとりは必死で名前を考えていたんですね。でも、そうやって一生懸命考えた名前で、みんな楽しく盛り上がれたわけですから、きっと集団で過ごす自信もついたのではないかと思います。

 

親御さんたちの反応は・・・

後に教室長さんに伺ったことですが、こうした子どもたちの様子を、親御さんたちはカメラを通じて、笑顔で見ておられたとのこと。

終了後の私から親御さんへのフィードバックの時間では、「自宅でもやらせたいけれど、これらのゲームはどこで売っているのでしょうか」「普段の遊びではかんしゃくを起してしまって困っているんですが・・・」など、活発な質問をいただき、非常に高い関心を持っていただけたようです。

今回のLeafさんでの実践を通じて、発達障害のあるお子さんの場合、コミュニケーション能力の育成もさることながら、それ以前に「安心して他の子と楽しく遊べた」という経験が繰り返し出来る場を用意してあげることが大切であることを、改めて実感しました。

こうした場が増えるよう、今後ますます活動のフィールドを拡げていきたいと思っています。

合理的配慮の義務化で何が変わるのか

4月から合理的配慮が義務化

この4月に、発達障害のある人とその家族にとって見逃すことのできない、大きな変化があります。

「障害者差別解消法」が試行され、公的機関において、障害のある人に対する「合理的配慮」が義務化されるのです。

「合理的配慮」については、発達障害のポータルサイト「LITALICO発達ナビ」に大変わかりやすくまとまった解説が載っています。

合理的配慮とは?考え方と具体例、障害者・事業者の権利・義務関係、合意形成プロセスについて

上の記事から言葉を借りると、「合理的配慮」とは、一人ひとりの特徴や場面に応じて発生する障害・困難さを取り除くための、個別の調整や変更のことを意味します。

典型例として、読み書き困難な人が音声端末やタブレットを使って学習できるようにしたり、車いすなど移動が困難な人にスロープやエレベーターを設置するといったことが「合理的配慮」にあたります。

4月から、障害のある人にこうした配慮を行うことが、学校を含む公的機関で義務化されるのです。

何からなにまで配慮してくれるわけではない

合理的配慮が義務化されることで、発達障害のあるお子さんやその親御さんにとって、何が変わるのでしょうか。

一つ言えるのは、合理的配慮が義務化されたとしても、求めた配慮がすべて実現するわけではない、ということです。

というのも、合理的配慮の考え方として、配慮するにあたり予算や人員の点であまりにも大きな負担がかかる場合や、配慮を提供することで他の人たちが不利益を被るような場合などは、合理的とはいえないと判断されるためです。

先にご紹介した「発達ナビ」で、インクルーシブ教育研究者の野口あきなさんがこのあたりのことを詳しく解説されています。

4月からはじまる合理的配慮の義務化。学校と連携するコツは?

紹介した二つの記事で、いずれも強調されているのは「合意形成」の必要です。合理的配慮を受けるためには、まず障害のある本人やその保護者から、学校に向けて必要とする配慮を提案します。その提案について学校側と話し合い、両者の間に合意が形成されて初めて、配慮が実施されるのです。

つまり、ただ待っているだけで望ましい配慮がなされるわけではありませんし、配慮を求めたからといって、学校が常にすべての要求を実現してくれるわけでもありません。

何が変わるのか?

こう書くと、「それなら今までと同じで、法律が変わったところで現実は何も変わないのでは?」と疑問に思われる方もいるかもしれません。

しかし、合理的配慮の問題を教育だけでなく、政治や法律の枠組みにおいて扱えるようになる点は、大変重要だと考えています。

仮に、読み書きが苦手な学習障害のお子さんに、学校が何ら配慮をせず、その子が授業についていけない状況があったとしましょう。親御さんがタブレット利用や支援員の配置などの合理的配慮を学校に求めたが「予算がない」とのことで応じてもらえない。さらには学校を監督する立場の教育委員会にも連絡したが動いてくれない、という状況だったとします。

従来なら、保護者の立場でこれだけやって学校側が動いてくれないとなれば、泣き寝入りするか別の地域に転校するしかなかったように思います。

しかし、法律で合理的配慮が義務化されれば、学校が障害のある子に配慮をしないことは、教育だけでなく、政治や法律の問題としても扱われることになります。

合理的配慮の法的根拠ができたことで、保護者の立場からは

  • 地域の議員に陳情して議会で取り上げてもらう
  • 弁護士に相談して訴訟を起こす

といったふうに、議員や弁護士といった第三者を巻き込んで合理的配慮を訴えやすくなるのではないかと考えています。

もちろん議員を動かすのも弁護士をつけて訴訟するのも、いざ実行するとなれば大きなエネルギーを求められますから、こうした手段に訴えることが常に良いことだとは思いません。

しかし、合理的配慮を学校と話し合う上で、「議員」や「弁護士」といった第3のプレイヤーを意識しながら合意形成に臨めるようになることは、お子さんが望ましい配慮を受ける上で大きな強みになると考えます。

「合意形成」の時代に求められる療育とは

さて、合理的配慮を受けるために必要な合意形成は、学齢期のうちは主として保護者が担います。しかし就職してからは(知的障害を伴う場合などを除けば)その役割を本人が担うことになると考えられます。

療育のゴールをお子さんの将来の自立に設定するなら、本人が合理的配慮を受けるために必要な合意形成能力を身につけることは、大変重要な療育課題となります。

自分の要求を一方的に主張するだけでは、合意形成はできません。相手にどれくらいの力があり、自分の要求にどこまで応えてくれそうか推し量ることができなくてはなりません。

ここは発達障害の中でも特にASDのある人が苦手とする部分で、こうした困難をどう乗り越えていくかは、まだ充分研究されていないテーマであるといえます。

そこで、アナログゲム療育でこうした合意形成能力を高めることができないかと考えています。具体的には「交渉する」「協力する」といった、合意形成の要素が含まれるゲームを用いて、適切な相手に適切な条件を提示できるようになるトレーニングを行うのです。

実際にこうしたトレーニングを経て、お子さんに望ましい変化が生まれています。その様子は、今後のブログでまたお伝えしたいと思います。

 

利用者が集まらない放課後等デイサービスの傾向と対策

療育アドバイザーの松本太一です。

今回は放課後等デイサービスを経営されている、または、これから経営されようとしている方へ向けた記事です。

いよいよ淘汰が始まった放課後等デイサービス業界

今年に入り、開設間もない放課後等デイサービスの苦境、あるいは撤退を耳にすることが多くなりました。具体的にはすでに多くの放デイがある大都市圏で新規参入したものの、競争が激しく利用者が集まらない、という状況が多いようです。

近年、放課後等デイサービスの開設の勢いは凄まじいものがあり、いずれ淘汰が始まると予想してはいましたが、思ったより早くその段階に入ってきている様子です。

しかし、私の知っている事業所さんで、競争が激しい大都市圏においても、開設後一ヶ月で満員になった所があります。あるいは、すでに人気の放デイが新たな事業所を開設したとき、開所前から数十人の待機者が生まれたという話も聞きます。

つまり、選ばれる事業所と、そうでない事業所がある、ということです。

両者の分かれ目はなんでしょうか。

利用者が集まらない理由

新規開設したのに人が集まってこない・・・。私が見聞きした話を総合すると、苦境に立たされる放課後等デイサービスには、ある共通の傾向が見られます。

それは「利用児に提供するプログラムを用意せずに開所している」ことです。

施設の広さや人材配置といった、法律で定められた最低要件を満たしただけで、即開所に踏み切ってしまう。プログラムは、開所後、利用者が増えてきたら追々考えていけば良いや、という考え方です。

放課後等デイサービスの供給が需要に追いついていなかった時は、このような考えでも、子どもを預かってもらえるというだけで、親御さんは契約してくれました。

しかし、近隣の事業所数が増え、親御さんが子どもを通わせる事業所を選べるようになっている状況では、開設当初から他の事業所と差別化できていなければ利用者は集まりません。

そのことをもう少し詳しく解説します。

最初の体験利用者を感動させる

過去に複数の放デイと関わらせていただいた経験からすると、新規利用者獲得のための最も効果のある宣伝は、親御さんの口コミです。

幸先の良いスタートを切れた事業所は、最初に施設を見学しにきた親御さんを「ファン」につけていることが多いです。その親御さんがインフルエンサーとなって、学校やママコミュニティの中で、他の親御さんに紹介してくれ、そこから数珠繋がりに新規申込が入ってくるのです。

従って、利用者を獲得するためには、開所前からきちんとしたプログラムを用意し、最初に見学・体験に来てくれた親子がそのプログラムに満足し事業所のファンになってもらうことが、必要になります。

裏を返せばプログラムが準備出来ていない状態で利用者をお迎えすることは大変なリスクです。自分たちが不十分なプログラムしか提供できないことが、事業所を見学した親御さんを通じて地域のコミュニティに知れ渡る可能性が高いからです。

そうなってから慌ててプログラム構築に力を入れても、確立したマイナスの評判を挽回することは大変に困難です。

なぜプログラムを準備しないのか

これほどのリスクがありながら、プログラムを用意しないまま放課後等デイサービスを開設してしまうケースが後を絶たないのはなぜでしょうか。

このようなケースでは、放課後等デイサービスの経営者の方が、利用者に満足してもらえるプログラムの”レベル感”を理解していないことが多いと感じています。

放課後等デイサービスでは、小学生から高校生までの障害のあるお子さんを日に10人程度お預かりします。この発達段階も障害特性も様々なお子さんたちに、安全にしかも有意義な時間を過ごしてもらうために、どんなプログラムを用意すればいいのか。そのプログラムを実施するためには、どんな設備や教材が必要なのか、スタッフにはどんな研修を受けさせる必要があるのか。そして、トータルでどれだけのコストがかかるのか。

ここの見極めは、特に他業種から参入して来た人の場合、判断が難しいところです。その結果でてくるのが、「わからないものに金をかけるわけにはいかない」という消極的な経営判断です。

それが先に述べた「とりあえずは最低限のところから始めてみよう、プログラムは利用者が集まってから追々開発しよう」という発想に繋がります。

しかし、競争状態に入っている地域に新規参入する場合、こうした考えが自殺行為であることは先に述べた通りです。

とにかく現場に入る

自分の事業所が提供するプログラムのレベル感を判断できないというのは、飲食店に例えれば自分の店で提供している食事が美味しいのか不味いのかわからない、という状況です。

普通なら考えられないことですが、こうしたことがまま起きるのが障害のあるお子さんを対象とした放課後等デイサービスの難しさだと思います。

では、経営者はどうしたら利用者に満足してもらえるプログラムの”レベル感”をつかむことができるのでしょうか。

誰にでもでき、すぐにでき、しかもお金のかからない方法があります。「現場に入る」ことです。

もしあなたがこれから自分の放デイを構えようとしているなら、その前にぜひとも他の放デイで働く経験を持つべきです。すでに自分の事業所があるなら、今すぐにでも現場に入ることです。

現場で障害のある子どもたちと向き合うことで、一日に発達障害のあるお子さんを10人お預かりするためにどれだけの態勢を用意しなければならなのか、肌感覚でつかむことができます。

また、親御さんたちと話をすることによって、自分たちにどれくらいのことが求められているのか、掴めるようになります。

同時に、自らスタッフの一員として働くことで、様々な要請に対し、自分たちがどこまで応えられるのかも、見えてくるはずです。

こうした現場の経験を通じて、

「こうすればもっと質を高められるのではないか」

「この部分はもっと効率化できるのではないか」

といった発想、あるいは、

「この部分は自分たちの経験や知識では解決できない」

「こんな教材が必要だ」

といった課題感も生まれてきます。

こうした発想や課題感ができあがってくれば、自身の事業所を開設するにあたって新しいプログラムを開発するときでも、どれくらいのコストをかければ満足してもらえるプログラムができるか、見込みがつきやすくなります。