協力して一つのゴールを目指す 「禁断の砂漠」


協力ゲームでコミュニケーション力を高める

ゲームというと勝敗や順位を競うものばかりと思われがちですが、プレイヤー同士が協力して一つのゴールを目指す 「協力ゲーム」と呼ばれるタイプのゲームがあります。

こうしたゲームは、対戦型のゲームとちがってお互いの思惑や手の内を隠す必要がないため、闊達なコミュニケーションを促せるのが利点です。

今回は「協力ゲーム」の一つ、「禁断の砂漠」をご紹介します。

古代文明が残した飛行機械を発掘し、砂漠を脱出せよ!

冒険者のチームが、古代の砂漠都市を発掘し、太陽光で動くと噂される伝説の飛行機械を修復する任務に送り込まれました。しかし、目的地に着く少し前、予想外の砂嵐に襲われてヘリコプターが墜落してしまいます。

素早く都市を発掘して飛行機械の部品を発見し、脱出のために修理することが唯一の生き残る希望なのです。(説明書より)

「禁断の砂漠」の目的は、砂漠に埋もれた古代都市を発掘し、失われた文明の飛行機械の部品を集めて脱出すること。

まるで映画のようなストーリーを背景に、ドラマチックな展開が次から次へと起こるエキサイティングなゲームです。

古代文明のテーマにした美しいアートワークが子どもたちの冒険心をかきたてる。

砂漠に眠る古代文明テーマにした美しいコンポーネントが、プレイヤーたちの冒険心をかきたてる。

 

しかし、部品を集めるまえにフィールドが砂に埋もれてしまったり、持っている水筒の水が尽きてしまうとゲームオーバー。そうならないために、プレイヤーたちは協力しあって砂を除去したりオアシスで水を補給しつつ、部品探しを続けなければなりません。

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ゲーム開始時の配置。「禁断の砂漠」では、ボードの代わりにカードがフィールドを構成する。砂嵐が吹き荒れるごとにこのカードがどんどん動いて、冒険者たちは思いもよらぬところに運ばれてしまう。また、フィールドの上に置かれた十字型のカードは降り積もる砂を表し、ゲーム中どんどん積み上がってプレイヤーたちの動きを制限する。

 

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精巧に作られた飛行機械のミニチュア。エンジンや羅針盤など各部のパーツは、最初散らばった状態で砂漠に埋もれている。これらを手に入れて飛行機械を完成させ、砂漠から脱出することがゲームの目的だ。

協力ゲームで総合的なコミュニケーション力を高める

これまでご紹介してきたゲームは「わかりやすく伝える」「質問する力を身につける」など、指導の狙いとなる何らかのコミュニケーションスキルがありましたが、「禁断の砂漠」では、特定のスキルを高めるというよりは、総合的なコミュニケーション能力を高めることを主眼においています。

このゲームでは、参加者同士が自由にアドバイスし合ってゲームを進められるので、各参加者のコミュニケーション上の課題が顕著に現れます。そこを捉えて指導します。

典型的なのは、目立たがり屋だったり、ゲームに勝ちたい気持ちが強すぎるお子さんが、一方的に他の子の行動を指示し、他の子はその言いなりになってしまうことです。

特にADHDタイプのお子さんが他の子のプレイを黙って見ていられず、「違うよ!こうやるんだよ!」「そんなことしたらうまくいかないよ!」などと、キツイ言い方で口を出してしまい、相手の子がじっくりと考えたり、みんなで相談しあう機会がなくなってしまうことがあります。

こうなってしまうと、全員のコミュニケーションの練習になりませんし、楽しい時間にもなりません。

指導者の問いかけで適切なコミュニケーションを促す

このような場面で重要になってくるのが、司会役を務める指導者の問いかけです。

仮に目立ちたがりのAちゃんと、おとなしいB君がいたとします。
Aちゃんが勝手にゲームを仕切りだし、他の子のプレイに過剰に口を出すような場合、指導者は

「Aちゃんはこういっているけど、他にもっと良い方法はあるかな?
たとえばB君はどう思う?」

と問いかけることで、目立ちたがりのAちゃんを否定することなく、大人しいBくんにも自分の考えを主張する場面を作ってあげることができます。

また、Aちゃんのように他者に口を出したがる子に対しては、

「Aちゃん、Bくんをよく見てごらん。今、一生懸命考えているよね。まだアドバイスしないほうが良いと思わない?」

「Aちゃん、そのアドバイスの言い方厳しすぎない?そんな言い方されたらB君は困っちゃうよ。ちょっとやわらかい伝え方はないかな?」

といった言葉がけで、
他人にアドバイスするときのタイミングや言葉遣いを指導することができます。

このように指導員の適切な問いかけや言葉がけにより、お子さんは協力ゲームをプレイする過程で、自然に望ましいコミュニケーションを身に付けることができるのです。

役割の違いが活発なコミュニケーションを促す

参加者同士のコミュニケーションを促すうえで、「禁断の砂漠」が優れているのは、プレイヤーごとに異なる役割が割り当てられていることです。

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「給水士」「探検家」「案内人」「考古学者」「気象学者」「登山家」の6つの役割があり、それぞれの強味をもっている。この役割の違いが、プレイヤー同士の助け合いを促す。

たとえば、「登山家」は砂が降り積もって侵入できない場所も乗り越えていける、「給水士」は大型の水筒を持っており他のプレイヤーに水を分けられる、といったようにそれぞれの強味があります。

こうした役割の違いにより、

「Aくん、その砂山を乗り越えて向こうの部品を取ってきて」

「わかった。でも、そろそろ水筒の水が足りなくなってるから、給水士のBさんは後で水を分けてくれない?

と言った具合に、それぞれの役割を意識した積極的なコミュニケーションが生まれ、お互いに「協力しあっている」という実感を持つことができます。

多様な年齢のお子さんが遊べる「協力」ゲーム

「禁断の砂漠」の対象年齢は10歳からとなっていますが、療育では6~7歳くらいのお子さんも参加してもらっています。

先に書いたように、プレイヤーごとの役割の違いがあるので、時として年少の子がチームの危機を救うような場面もしばしばあります。お兄さん、お姉さんに混じってチームの一員として活躍できた、という経験は、その子にとっては大きな自信につながります。

逆に、年長の子どもたちは小さな子をどうやってサポートしていけばよいか、考える練習になります。このように、異なる年齢の子どもたちが協力しあってお互いの関係を深められるのが「協力ゲーム」の良いところです。

 


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